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将棋再入門
皆さんも、特に男性であれば、一度は将棋に関わったことがあるか、現在も継続していることでしょう。私も小学校低学年の時に父から将棋を習い、一時それにはまり、よくやっていたものです。弟も将棋ができるようになってからは、2人でよく遊んでいました。その頃の勝負といえば、まったくの子供の勝負です。「王手・飛車取り」などと脅かせば、あわてて飛車を逃がそうとするようなレベルでした。その後、しばらくそれから離れているうち弟の方は近所にいた親戚のおじさんに将棋を習うようになり、ある時久々に勝負をしたら、全く手筋が変わっているのに驚かされました。「飛車取り」と打っても、それをチラッとみるだけで、いかに王手をかけるかを考え、攻勢にでてくる始末で、いつの間にか歴然とした実力の差がついていました。「上手な人に習うとこうも違ってくるのかぁ」と感心したものです。しかし、あえて自分も修行をするという気にもならずに月日が経ちました。途中時々はやったような気もしますが、レベルはさほど変わらずだったと思います。大学生になり、将棋好きの友人がいて、また少しのめり込む状況がありました。その友人がまた強くて、数十回やったうちの1回しか勝った記憶がありません。その屈辱的な実践から手筋を少しは覚え、子供の頃よりも、多少レベルは上がったのかもしれません。何事も自分よりレベルの上の人と交わることが大切なのでしょう。しかし、その後、仕事を持つようになり、将棋をやる機会から遠ざかり、現在に至っています。
私の長男が今年の4月で小学3年生となりました。1〜2年くらい前から、友達の影響もあり、今流行りのWiiやら、特に最近はDSが欲しいと騒ぐようになってきていました。私は今まで、あの手のテレビゲームにのめり込むことはなかったので、家には当然、そういったものはなく、また、小さいうちからあのようなものにはまる状況を好ましいとは思っていません。Wiiはともかく、DSはどこへでも持ち運びが可能なので、親の目の届かないところで、いつでもゲームをやるような状況が生まれてしまいます。目も悪くなりそうだし、不健康な印象があります。まわりの友達は持っている子も多いようなので、少し、かわいそうな気もしましたが、「そんなものは、高校生か大学生になってから自分で買いなさい」と突っぱねてきていました。
そこで、ふと思いついたのが、将棋です。私もちょうどそのくらいの時期に習ったような気がするので、これを教えてみようかと思い立ちました。将棋の方が頭で考える姿勢が身につくので、遙かに良い気がしたのです。早速、将棋盤と駒と子供向けの入門書を購入し、先日教えてみました。はじめはそれほど乗り気ではなかったような印象もありましたが、取りあえず、一通りの動かし方を教え、一度教えながら勝負をしてみました。やっているうちに何となく、はまりそうな様子もあったので、少し動悸づけをするために、思わずこう口走ってしまったのです。「将棋でお父さんに勝てたら、DSを買うことも考えてあげるよ」などと・・・。
さぁ、これが不注意でした(口は災いの元)。それを聞いた、子供の目の色が変わり、のめり込む勢いを示し、自分なりに本などを読みながら、将棋盤に向かっていました。次の日、再び対戦したのですが、ある局面でこちらの攻撃に対し、持ち駒で防ぐ手が非常に良かったものですから、それをほめると同時に「これは、自分より筋がいいかもしれん」と内心焦りを感じ、よけいな約束を口走ったことを後悔しました。「約束をした以上、それを破りたくはない、しかし、小学生のうちからDSはなぁ〜」と複雑な思いになり、「ぼやぼやしてはいられない。このままだと、小学生のうちに将棋の勝負に負け、親の面目を失い、DSまで買わされてしまう・・・」というわけで、私も「初心者のための〜」的な将棋の本を買いあさり、今まであまりしなかった将棋修行に邁進しています。将棋道場へ通う時間もなく、相手もいないので、パソコンの将棋ソフトも手に入れ、コンピュータ相手に勝負していますが、これがなかなか強く、というより、自分の実力はそもそも初心者に毛の生えた程度であることが明らかになり、さらに冷や汗をかいています。しかし、やり出すと、頭の知的作業を刺激されるのか、なかなか、はまるもので、結構楽しんでいます。私の父もよく日曜にNHKの将棋の番組を見ていましたが、今ようやくその気持ちがわかるようになりました。上手な人の勝負を見るのも修業の一つです。本当ならば、上手な人と実際に対戦する方が遙かに良いようなのですが、なかなか今の生活では難しい気がします。しかし、本とテレビとパソコンとで、何とか実力をつけ、子供の挑戦をかわしていかねばなりませんので、しばらく将棋づけの日々が続きそうです。
(遠田弘一)
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