小柴胡湯合桂枝加黄耆湯が奏効した掌蹠膿疱症(その2:掌蹠外にも皮疹)

患者は30歳、女性。平成13年4月頃から手掌に水疱が出現し、その後、足底にも出るようになった。近医の皮膚科(4軒程)を受診し、塗り薬を処方されていたが、改善しなかった。当院で同じ皮膚病の治った知人に教えられて、平成13年10月に来院した。
身長164cm、体重60kg、血圧116/80、脈はやや沈・小・弱、腹候は腹力中等度で、胸脇苦満はなく、両腹直筋の攣急も軽度、臍傍の圧痛点なし。初診時の皮膚所見としては乾湿中等度、手足と前腕や下腿に発疹が認められた。甘い物や餅米類は少量摂取している。果物はよく食べるがジュースやコーヒーなどは飲まない。肉はそれ程食べないとのことであった。全体像から判断して、陽証で虚証であり、大柴胡湯よりもむしろ小柴胡湯に適した体型であり、そこに掌蹠膿疱症の改善に大切な桂枝加黄耆湯を合方したような薬方すなわち、小柴胡湯に桂枝3g、芍薬3g、黄耆14gを加味し、全体の2分の1量を1日分として14日分を処方した。初診時より2週間後は、皮疹は少し良くった印象であり、同じ薬方を継続していったところ、4週間後は足の方はかなり改善を認め(写真参照)、8週間後(写真参照)は手掌の一部を除いて、ほぼ完治に近い状態になっていました。同じ処方を継続投与し、初診時より約13週後(写真参照)はほぼ完治としてよい状態になりました。しかし、この病気は少なくとも1年間は服用した方がよいので、同一薬方を処方して経過をみています。
この症例も前回同様、掌蹠外にも皮疹が出ている症例ですが、小柴胡湯合桂枝加黄耆湯の投与にて約13週間後に改善した例です。掌蹠膿疱症という皮膚病は季節的変動の著明な皮膚病であって、冬季は完治したように見えていても、春先から夏にかけて、暖かくなると皮疹が出現してくる傾向の強いものですので、最低1年間は経過を見る必要があります。
この病気の治療に関しては桂枝加黄耆湯だけで改善してしまう例(『近代漢方 治療編』医道の日本社 参照)もありますが、今ひとつ物足りない時は小柴胡湯と合方すると良いということが多いように思われます。この場合、胸脇苦満がなくても小柴胡湯を合方してよいようです。これは“お血”の圧痛点が認められなくても、駆お血剤が使えるのと同様なことです。
右手掌面 左足底部 左右足背部と外側部
右下腿外側面 左下腿外側面 右足内側部
左前腕内面   右足の踵

初診時 2001.10.12
約4週間後 2001.11.09
約8週間後 2001.12.07
約13週間後 2002.01.11

前のページへ このページのトップへ 一つ後へ

閉じる