以前のトピックス

4. 漢方復興の大恩人(和田啓十朗先生)

 前回は漢方復興の蔭の大恩人について紹介しました。今回はその人に影響されて、本当に漢方復興の大恩人になった和田啓十朗先生について紹介しておきます。
 明治時代(1869〜1912)は欧米のものなら何でも良く見えた、いわゆる「文明開化」の時代でした。時の新政府は西洋医学の積極的な導入を図るとともに、漢方医学については幾つもの法律を制定してまで、これを消滅させようとしましたので、漢方医学の伝統は殆ど消失してしまいました。
 この時、西洋医学を学び、その医師免許を取得しながら、更に、消滅しかかっていた漢方医学を敢えて習得し、その治療術の長所を存分に体験し、それを通じて西洋医学の欠陥を深く認識し、両医学の利害得失を実践的に比較考察して、社会一般が漢方を排斥し、西洋医学を盲信しているその誤りを正そうとして、「医界の鉄椎」という本を出版しました。
 世を挙げて西洋医学一辺倒になっていた時代です。こんな先進的な本を出版してくれる書店はどこにもありませんでしたので、当然、自費出版となりました。それこそ「食を粗にし衣を薄くして得たる資金を以ってようやく出版した」ということのようです。
 この本はすぐには評価されませんでしたが、やがてこれに共鳴する人達が現れてきて、そういう人達の尽力によって、今日のように漢方が復興してきたわけです。こういう機縁を作られた最初の人が和田啓十朗先生だったわけですので、今日、漢方復興の大恩人とされているのです。
 昭和53年10月22日、東京都中央区浜町の自然公園において、先生の顕彰碑除幕式が執り行われました。先生が実際に漢方の臨床実践を行っていたご自宅のすぐ前のところです。その機会のある人は、どうぞその場を訪れて、先生の努力と功績を偲んでみて下さい。

(遠田裕政)