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20. 医療:その2
前回のトピックス(17)で、現代医学の外科領域の医療水準の高さについて、身をもって体験したことの一端を報告しておきましたが、今回はそれに関連して、なお感じていることについて、少し触れておくことに致します。
S字状結腸内に出来た癌のため、腸閉塞になったわけですので、その癌を含めて腸管の一部を切除することが必要となり、入院してすぐ、術前の当然の処置として、食物および水分など一切の経口摂取を禁じられ、その代わりに、高カロリー輸液をされることになりました。
この高カロリー輸液は以前、首のあたりの静脈に管を挿入していましたので、その覚悟をしていましたが、有難いことに、左の前腕の静脈でやっていただけることになりました。お陰で、普通の点滴感覚で、術前、術後を過ごすことが出来、大変に嬉しいことでした。首のあたりの挿管では、なんとなく不安感があり、不便でもあるからです。
この輸液のお陰で、水一滴飲まなくても、喉は渇かず、空腹も覚えず、体力も落ちず、しかも胃腸を休ませて、腸閉塞のために浮腫状になった腸管の浮腫を改善し、手術をしやすくすることが出来るのですから、誠に素晴らしいことです。何ヶ月もこれのみで生きていくことが出来るようですので、なんとも有難いことでもあります。これは今や、日常、普通に見られることですので、一見なんでもないことのように思われ勝ちですが、実は、現代でなければ出来ない高度の医療技術の一つです。
漢方治療の専門家としては羨ましいとすら感じたものでした。なぜなら、漢方治療では原則として、すべて経口投与でいかなければならないものだからです。
腹部の奥の腸管の一部を切除することといい、経口投与を一切禁じて、生命を維持していけることといい、誠に現代だからこそ出来る高度の医療技術と言ってよいわけですが、これらは現代医学が持っている高度の医療技術のほんの一端に過ぎません。
そういう高度の医療技術を存分に持っている現代医学に対して、東洋医学は一体、何をもって、その存在価値を主張していけるのでしょうか。これはこの現代における漢方治療の実践者が、よくよく考えておかなければならない大切な問題ですが、どうも一般的には、あまり十分に考えられてはいないような感じです。次回以降、少し考察していくことに致します。
(遠田裕政)
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