以前のトピックス

33. 最近面白いこと

  最近、歴史が面白い。今から、20年以上前に吉川英治著「三国志」を読み出したことがある。でも、何が原因かわからないが、途中で挫折してしまった。何かで忙しくなったのか、興味がそれてしまったのか、今となっては思い出せないが、その後、再び読む事もなく、現在に至っている。歴史が嫌いなわけではなかった。今まで、歴史の裏話的な本も何冊か読んできているし、NHKの大河ドラマもほぼかかさずに見てきていたので、日本史の断片的な知識はそれなりにたまってきたと思う。でも、特に興味をもてる時代としては、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などが活躍する戦国時代や明治維新あたりで、その他はそれ程関心が無かった。しかし、数ヶ月前より、井沢元彦氏の書かれている「逆説の日本史」という本を読み始めているが、これが非常に面白い。はじめは、氏の書かれている「言霊(ことだま)」に関する数冊の本がきっかけである。
  この「言霊」というのは、氏の言に基づくならば、日本人に独特の宗教感情というか無意識のうちに影響を受けている感覚というようなもので、簡単に言うならば、口に出して言ったことは、そのまま現実を創る、もしくは、そのような現実を引き寄せるということ。信じる信じないに関わらず、あるいは、それを意識しているいないに関わらず、この感覚に少なからず影響を受けて、個人あるいは集団が活動し、結局は日本史の流れを大きく左右してきたものであり、今現在の人達(日本人)もその影響のもとに暮らしているというような主旨であったと思う。その真偽はともかく、「成るほど」と思えることもあったため、それに関する数冊の本を読んでみたが、その成り行きで、「逆説の日本史」も読み始めてしまった。インターネットを覗くと、氏の言説に対しては、賛否両論いろいろあるようではあるが、自分としては、非常に面白く読ませてもらっている。今現在で7巻目までの出版であり、時代としては、中世王権編(太平記と南北朝の謎)であるため、まだ自分の好きないわゆる戦国時代には入ってきていない。しかし、7巻目まで読んできて、その時代の登場人物や時代背景に今まで以上の興味を持てたし、その人物の息吹までが、身近に感じられるようになった気がしてわくわくしている。
  歴史というものが、ある時代毎に分断しているものではなく、いろいろ複雑に絡み合って流れているものであるとあらためて思わされる。同8巻目の出版を待ち遠しく思う気持ちと歴史への興味に新たに火がついた勢いで、それまで、遠ざかっていた三国志を再び読む気になった。しかし、吉川英治氏の三国志は以前挫折していたため、書店で見かけた北方謙三氏の三国志(全13巻)に何気なく手をつけてしまったのであるが、これがまた面白い。さまざまな登場人物に焦点が移り変わりながら、進行する。その人物の喜び、高揚感、悩み、悲しみ、苦しみなど独白を交えながら、まるで、その人物と一緒になったような錯覚を覚えながら、話が展開していく。ふっと冷静に考えると、いろいろ資料は調べ尽くしているのだろうが、この著者はその時代に生きていたわけでもないだろうに、何でそこまで言えるのか・・・。などとつぶやきながらも、思わず、自分の気持ちまでもが、高揚したり、苛立ったり、ほっとしたり、涙したりしている。小説家というのは、本当にうまいものだと関心してしまう。
  歴史というのは、結局、真実は誰もわからないものだろう。伝えられている事が本当にそのまま真実が伝えられているのか否か、またその解釈も人によって様々なものになる。しかし、歴史というのは、その内容が本当かどうかということも大事ではあるが、それを知って、自分が生きている事とは何なのか、より良く生きるために自分はどうするのかということへの内観を持てれば、その方がさらに重要なことだろうと思う。歴史小説においては、内容の真偽よりも、それを読んで、自分が楽しめ、また色々な事に興味を見いだせれば、それでよいのだと思う。少なくとも、自分としては、この二人によって日本史やその遺跡のみならず、世界史にも新たな興味を持たせてもらい、楽しませてもらい、また少しく内観させていただいたことに感謝している。今、三国志12巻目の後半にさしかかっている。これをすべて読み終えたら、再び、吉川英治氏の三国志に再チャレンジしようと思っている。新たな視点から楽しめるのではないかと期待している今日この頃である。

(遠田弘一)