以前のトピックス

全く同感!

 先月のトピックで、雨宮先生の方から「甘麦大棗湯の不思議」という内容を掲載されていましたが、私もこの処方には全く同じ思いでいる者です。
 うちには、2人の子がいて、下の子(長女)が現在2歳、もうすぐ3歳になろうとしています。この子は、生まれつき鳴き声がすごい子で、声量があってドスの効いた声を響かせる上、誰に似たのか頑固で、なだめても、怒鳴っても、「泣くときは泣く」で絶対に妥協しません。だから、泣かれるともう手がつけられない状態で、特に夜に泣かれると親としては本当に弱り果ててしまいます。この子がよりによって、いつの頃からか夜泣きが始まってしまい、それはそれは大変な状況だったのですが、試しに使ってみた「甘麦大棗湯」が著効を示し、服用したその日ぐらいからピタッと夜泣きが無くなってしまいました。始めは偶然かと思っていましたので、しばらく(2〜3週間でしょうか)使ってみて、やめてみたところ、また、にわかに症状が戻ってきました。「あれっ」と思って、再び使い始めると、また治まります。こんなことを数度繰り返して、やはり、「甘麦大棗湯」が効いているんだという印象を強めました。今現在はもう服用していませんが、まぁ、夜はよく寝ていてくれています。他の多くのお子様で試した訳ではないので、まだ何ともいえませんが、自分としては「子供の夜泣き」には第一候補の処方となりました。というより、味からいってみても子供に使えるのはこれぐらいしかありません。
 そんな印象をもっていた頃(ちょうど去年の4月頃)に9歳の男の子で、5歳の頃よりチック症(これは、ピクピクっとした素早い動きが、本人の意思とは関係なく、繰り返しおきてしまうものです。一番多い症状は瞬きで、そのほかにも、肩をぴくっと動かす、頭をふる、顔をしかめる、口を曲げる等いろいろとあります)で困っているという子が親と一緒に来院されました。チック症は、精神的なストレスが大きな要因の一つでもあり、本来は短期間(一過性)で治まってしまうもののようですので心配はいらないのですが、この子の場合は5歳の頃より4年間程、同症状があったようですので、ご両親としては心配だったと思います。この子もはじめは目がしょぼしょぼする感じが始まり、特に緊張した時に出やすく、だんだん頻度や長さ、それに症状が増悪してきているというものでした。もちろん、診療内科のカウンセリングや眼科から薬も処方されたがあまり効果がないとのことでした。
 とにかく子供でしたので、やはり飲めるかどうかということで、始めに頭に思いついたのが、この「甘麦大棗湯」でした。「どれだけ効くかはわかりませんが、子供が飲みやすいので、まずこれから試してみましょう」ということで、この湯を2週間処方してみました。その約2週間後、電話があり、「少しましになっている」ということでしたので、さらに一ヶ月分の薬を送りました。その後は来院がなかったのですが、6月頃にメールが届きました。その内容は、「2ヶ月前に子供のチック症で来院させていただいた者です。処方されたものを試したところ、とてもひどかった症状がピタっと治まりました。1週間後に一日だけまた症状がひどく出た日があったのですが、その後も治まり、1ヶ月半服用させてから、自己判断でやめてみましたが、3週間程経っても、症状が治まったままです。こんなに即効性もあるのだと驚き感謝しています。もしまた症状が出ることがあっても安心です。ありがとうございました。」という内容でした。その後は、1年程経過し、今年の7月頃に「以前に比べるとひどくはないが、また症状が若干出始めてきていますので、薬がほしい」という内容の電話があり、1ヶ月分送りました。その後はまだ何も連絡がありません。調子がいいのだろうと考えられます。
 というわけで、私もこの湯の不思議さを身を持って感じている者です。単純な処方なのに甘くて飲みやすくて、効果も期待できるという重宝なものです。まだまだ、いろいろな症例で使いたくなる処方です。

(遠田弘一)