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ガイドライン

 最近は様々な病気で治療のガイドラインが発表されています。ガイドラインは病気の段階によって使うべき薬の種類を細かく規定しています。ガイドラインに添って治療が行われれば、治療の標準化がなされ、大きな間違いは起きなくなる事が期待できます。一方、変った治療方はガイドラインの圧力でしにくくなり、治療の多様性は失われていくでしょう。両者はコインの裏表の関係ですから、仕方がないことですが、ここで考えなければいけないのは、ガイドラインも間違う可能性があることです。治療法にも流行があり、また疾患概念も時代とともに変っていきます。頻繁に改定されるガイドラインの世界では、昨日の真実は今日の嘘であり得ます。誤ったガイドラインのために、世界中で誤った治療が行われる危険性はゼロではありません。またガイドラインが誰によって作成されるか知りませんが、ガイドラインを策定する人間に製薬会社が働き掛ける可能性はないでしょうか。製薬会社にすれば自社の薬剤がガイドラインで推奨されるかどうかは、それこそ死活問題です。こうした疑念を抱くのは考え過ぎでしょうか。
 以上はこれからシーズンに入るアレルギー性鼻炎の治療ガイドラインを眺めつつ感じた感想です。漢方ですか?漢方こそ恣意的な治療に陥り易い領域ですから、ガイドラインが必要だと思います。しかし、色々な流派がある漢方界では、そもそもガイドラインの作成自体がかなり困難な作業になるでしょう。たとえ、ガイドラインができたとしても、それぞれ一家言ある漢方家がすんなりとガイドラインに従うとは思えません。むしろ、この病気に、普通は使わないあの処方を使って治した、ということにこそ漢方の醍醐味を感じるものです。漢方治療へのガイドラインの導入は、本質的に相容れないところがあるかもしれません。
 西洋医学ではこれからますます色々な領域でガイドラインが発表されていくことでしょう。しかし、その功罪を踏まえ、ガイドラインは「無視せず、盲信せず」で行きたいものです。

(雨宮修二)